インターバル練習の注意点

少し前ですが、昨年8月の下旬に、西澤果穂さんの練習を見に行ってきました。
400mのインターバルを12本。
大体70秒前後で全部こなしていました。
インターバル練習の注意点

西澤さんのフォームは、短い距離でもピッチを活かしたミッドフット着地の走り方です。
中距離選手では川元さんの走りに近いと思います。

さて本題ですが、インターバル練習の注意点です。
これは選手、コーチ両方に共通することと言えます。
そしてインターバルに限ったことではないことを最初に述べておきます。
注意点として先ず第一に、「自分の走りの良い部分を崩さない」ことを挙げておきます。
苦しくなった時はフォームが崩れることが多々あります。
特に速く走っている時に崩れてしまうと、繋ぎのジョグの走りはもう最悪です。
このまま練習を続けてしまうと、「苦しいときに最悪の走り方をする」練習をしていることになってしまいます。
当然、レースで苦しいときにもこの走り方が出てしまいます。
その時、監督やコーチの中にはこう言いう人がいます。
「悪いときの走り方が出ている」と。
当然と言えば当然です。
苦しいときに悪い走りをすることを練習してきたのですから。

では注意点その2ですが、これは注意点1の裏返しです。
「自分の走りの良い部分を意識し維持する」ことです。
自分の走りの長所を見出しているなら、どんなに苦しいときでもその部分は維持することを心掛けます。
インターバルだけでなく、ペース走などすべての練習で言えることです。
例えば西澤さんの場合、効率の良いミッドフット接地とピッチの回転の良さが走りの素晴らしいところと言えるでしょう。
たとえペースが落ちたとしても、繋ぎのジョグが苦しかったとしても、この二つを常に意識し、保つことに集中します。
特にこの点は、設定タイムを維持するよりも重要なことだと私は考えています。
走っている最中、苦しくて崩れたフォームで走ってしまうと、立て直すことは難しく、ラストで走りを切り替えることも困難です。
しかし良い部分を維持出来ていれば、どれほど苦しくても、ラストだけでも切り替えることが出来ます。
ペースを落とすことで回復すれば、走り自体を戻すこともスムーズに行えます。
先ほど「すべての練習で言えること」と述べましたが、この注意点はダウンのジョグでも一緒です。
練習で疲れた後、ダウンの姿勢が崩れてしまっては意味がない、と私は思います。

3番目の注意点は、これはコーチに言えることです。
これまで述べてきたことを踏まえると、選手への声掛けは「我慢しろ」とか「つかなきゃダメ」とはならないはずです。
一度離れてしまっている選手にそのような声をかけても、時すでに遅く、回復する人はまずいません。
(離れそうになる前なら多少の効果は見込めますがタイミングが難しいです)
そこで声掛けの内容は、走りで維持する部分を意識させる内容になります。
例えば西澤さんに声をかけるとしたら「ピッチを維持しよう」といったことになるでしょう。

実は今回、練習を開始する前、そして400の1本目か2本目のつなぎの最中に私が声をかけたのは「途中でペースが落ちても気にしないで、最初の100までのピッチを継続すること」でした。
「そうすると、ラスト100~80くらいから上げるときにスムーズになる」と伝えたかどうかは記憶があやふやですが…。
何にせよ、これを最後まで維持できると、選手は設定タイムとの差に関係なく、「練習できた」というイメージを抱きます。
特にインターバルの目的は心肺機能の強化ですから、この「練習できた」と思えることは大事です。
「きつかった」「苦しかった」だけで終わるより明らかに効果があると私は考えます。
それに実際(これは経験からですが)、終わってみると設定タイムよりも大きく遅れていないことが多いとも思います。

今回、目の前で見た西澤さんの走りは、終始素晴らしかった。
そして身体もだいぶ絞れいている印象を受けました。
プリンセス駅伝まであともう少し…納得のできる走りをすることが出来るように願っています。

長々と書いてしまいましたが、言いたいことはひとつです。
「常に自分の良い走りを意識し、持続すること」
さらに一言でいうと「姿勢を正せ」です。

この日の練習の様子はYouTubeにアップされているので、最後に紹介しておきます。



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